Ojiya
棒読みちゃんを利用するには
棒読みちゃんはWindows用アプリケーションですが、教育機能その他、非常によくできているのと標準的に使用されているのでMacで放送する場合にも使用したい人もいると思います。(作者がそうです)
Mac単体で棒読みちゃんを使用するには、多少のUNIXのシェルスクリプトの知識と、WineとMeCabが必要です。
また、Parallels Desktopのような仮想環境上でWindowsを動かして、AppleScriptなどで棒読みちゃんを制御する方法もとれると思います。
ここでは一例としてWineskin Wineryを使用して棒読みちゃんをMacで動かす手順を解説します。ただ、ある程度分かる人向けの説明に留まります。画像などで親切に案内できませんし、誰でも成功するとも限りませんので悪しからず。
※Macユーザの多数が、こんなことはしないだろうし、ある程度UNIXコマンドを理解しないと却って危険かもしれないので、あえて突き放した書き方をしています。
追記:このページを参考にKILINBOXさまがMacで棒読みちゃんを使う方法を書かれています。
ここで紹介しているWineskin Wineryではなく、別のWineパッケージであるPlayOnMacを使った方法で図解など詳しいです。下のリンクから見て下さい。
macで棒読みちゃんを使う - KILINBOX
XQuarzの入手
Wineを利用するためにUNIXのWindowシステムであるX11が必要です。
X11はMacOSX 10.7 Lionまでは標準インストールされていますが、10.8 Mountain Lion以降はインストールされていないので、代替品のXQuarzをインストールしてX11を利用可能にします。
MacOSX 10.8以降の方はこちらからXQuarzを入手してインストールして下さい。
XQuarzはMacOS標準インストーラで配布されていますので、インストールには困らないと思います。
Wineskin Wineryの入手
Wineskin WineryはWineを比較的簡単にMacで使用できるようにするツールです。
WineはBSD/Linux/MacOSXなどの非Windowsプラットフォーム上で、WindowsAPIを利用できるようにしてWIndows専用アプリケーションを動かそうというプロジェクトです。
Wineskin Wineryを使えば、VMWareやPararelles Desktopのような仮想環境やBootCampを使用せずにWindowsアプリケーションをMac用のアプリケーションと同様にMacOS単体でアプリケーションアイコンからダブルクリックで起動できるようになります。(Wineで全てのWindowsアプリケーションが起動できるわけではありません)
Wineskin Wineryの入手先はこちら
棒読みちゃんの入手
404 Fight Not Found様より入手してZIPファイルを解凍して下さい。
MeCabの入手とMeCabについて
棒読みちゃんはゆっくろいどやSayKotoeriなどと同様、AquesTalkというフレームワークを使用して読み上げを実現しています。
棒読みちゃんもゆっくろいども漢字を入力出来ますが、実はAquesTalkは漢字が読めません。棒読みちゃんで漢字を読めているのは、MS-IMEの漢字仮名逆変換(形態素解析機能)を用いて、ひらがなに変更してからAquesTalkに食わせているためです。
ですが、MacでMS-IMEを利用するのはライセンス違反に当たるので、フリーの形態素解析エンジンMeCabで代用します。喜ばしいことに棒読みちゃんはMeCabに対応しています。
Mecabの入手はこちらの中程下にダウンロードの箇所があるので「Binary package for MS-Windows」のところからexeファイルをダウンロードして下さい。
MeCabはMeCab
MeCabはあくまでMeCab。ですので読める文字列や単語はMS-IMEとは違います。MeCabとMS-IMEでは逆変換の結果が違うからです。
棒読みちゃん標準のMS-IMEとは読み方は同等にはなりません。読めない漢字も多々あります。その点は理解しておいて下さい。
macOSでは文字コードがUTF-8であるのに対し、WIndowsはもともとShift-JISベースだったのでMeCabの辞書がShift-JISコードでないと正しく読めないからです。
おそらくWineが、UTF-8をShift-JISに変換して文字を流しているのだろうと思われますが、その中でデータが欠損する場合があるのではないかと想像しています。
Wineskin Wineryの導入
Safx様の記事を参考に設定して下さい。
アプリ名はBouyomiChanとかにしておけばいいと思います。
MeCabのインストール
上のサイトを参考に.appを作成したら、出来上がったアプリアイコンを右クリックして「パッケージの内容を表示」を選びます。
その中にWineskinがあるので、ダブルクリックして起動します。
この作業は、.appに複数の関連アプリを入れたり、中身を更新するときに必要な手順です。
そして[Advanced]ボタンをクリック→[Install Software]ボタンをクリック→[Choose Setup Executable]ボタンをクリックして、先ほどDLしたMecabのexeファイルを開くとMeCabのインストーラが開きます。
文字コードはShift-JISを選んでインストールして下さい。
.NET Frameworkのインストール
MeCabのインストールに使用したAdvancedウインドウにToolsタブがあります。
Toolsタブを開き、Utilitiesの中にある[Winetricks]ボタンをクリックします。
開いたウインドウ内のdllsの▼をクリックして階層を開き、その中に「MS .NET」で始まるものがありますので(上の検索バーに「.net」と入力して探してもOK)適当にバージョンを選んで(作者は4.5を選択) [Run]ボタンをクリックします。
しばらくすると、.NET Frameworkのインストールウィザードが起動しますので、インストールして下さい。
この作業が必要なのを2021年まで忘れてました……。
棒読みちゃんのインストール
先ほど「パッケージの内容を表示」でdrive_cというエイリアスフォルダがあったはずです。
drive_cを開いてProgram Filesを開き、解凍した棒読みちゃんのフォルダをドラッグ&ドロップします。
棒読みちゃんのフォルダ名は後ろの「_0_1_11_0_Beta16」みたいなのを消しておけば取り回しに苦労しないと思います。
先ほどのAdvancedボタンをクリックして出てくるウインドウのWindows EXE欄に「/Program Files/BouyomiChan/BouyomiChan.exe」と指定するかBrowseボタンでBouyomiChan.exeを探し選択して下さい。
Test Runボタンで実行してみて動いたらひとまず成功です。
棒読みちゃん設定
出来上がった.appをダブルクリックして棒読みちゃんを起動します。
設定画面を開き、漢字→かな変換設定で、01)漢字→かな変換モードのところからMeCabを選んで下さい。
その他の設定はググれば解説が出てくると思いますので適宜設定して下さい。
棒読みちゃん終了時の注意
アプリケーションメニューの終了(command + Q)を選ぶと、教育などが保存されないので、ウインドウクローズボタン(赤丸)をクリックして終了するようにして下さい。
シェルスクリプトの作成
テキストエディタでファイルを作成し、ファイル名の拡張子は.shにしておきます。
下記のシェルスクリプトを書きます。[ユーザ名]等は適宜、自分の環境に合わせて書き換えて下さい。
BouyomiChanxxxxxxxxWineは「x」の部分に数字が入っているファイルがあるはずなので、Wineskinで作った棒読みちゃん.appのパッケージの内容を表示からContents > Frameworks > wswine.bundle > binとフォルダを開いてファイル名を確認して下さい。
※アプリ名をBouyomiChanとして作った場合の例です。
#!/bin/bash
/Users/[ユーザ名]/Applications/Wineskin/[Wineskinで作った棒読みちゃんのファイル名:例 BouyomiChan.app]/Contents/Frameworks/wswine.bundle/bin/BouyomiChanxxxxxxxxWine '/Users/[ユーザ名]/Applications/Wineskin/[wineskinで作った棒読みちゃんのファイル名:例 BouyomiChan.app]/Contents/Resources/drive_c/Program Files/BouyomiChan/RemoteTalk/RemoteTalk.exe' /T " $1"
とりあえず、保存先はデスクトップでいいです。
シェルスクリプトのパーミッション設定
ターミナル.appを使い、下記のようにデスクトップへ移動して下記の通りにシェルスクリプトに実行権限を与えます。
※下記はシェルスクリプトのファイル名をBouyomichan.shとした場合です。
cd Desktop/
chmod 755 Bouyomichan.sh
Ojiyaの読み上げ設定
Ojiyaの読み上げ設定で読み上げソフトに「コマンド発行」を選び、直下の入力欄に作成したシェルスクリプトのパスを入力します。
デスクトップに置いている場合は以下の通りです。
/Users/[ユーザ名]/Desktop/Bouyomichan.sh
辞書を賢く(?)する
ニコニコ大百科やはてなブログに登録された語彙を追加できます。
詳しくはカーちゃんのAVAとosu!のブログ様の記事などを参考に行って下さい。
辞書を作成するときにShift-JISでCSVを作成しないと読んでくれません。
PHPスクリプトを作成できる人とか対象で、ここでは詳しくは解説しません。
ググってみて下さい。色々と情報は出てくると思います。
これらの作業で棒読みちゃんがOjiyaで使用できるようになります。
読み上げさせる場合は棒読みちゃんを起動しておいて下さい。
また、この方法で作ったシェルスクリプトはマルチプラットフォームのコメビュであるViqoでも利用可能です。
コメント受信時の欄にシェルスクリプトのパスを入力すれば使用できます。